2024 09,28 09:24 |
|
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 |
|
2015 11,09 23:12 |
|
2014 09,11 23:37 |
|
「井宿、勝負やっ!」 |
|
2014 09,07 01:04 |
|
北甲国から西廊国へは砂漠を通るのが一番の道だ。 昼夜の温度差に見渡す限りの砂地獄。暑さと変わらぬ景色に気がおかしくなりそうになったころ街を見つけた。 蜃気楼と疑うことすらなく、一行は街へと進んだ。 大きな街ではないが、砂漠地帯にある街とは思えないほど賑わっており誰もが安堵した。 疲れた… それまで誰もが口にすることの無かった言葉が漏れ、人目をはばからずその場に座り込んだ。 たまたま話しかけた住民がよかったのかはたまた西廊国の国民性か、旅人だというと笑顔で宿の提供を申し出てくれた。 井宿たちはありがたくその申し出を受け、貴重な水で体中についた砂を落とした。 「やっとさっぱりしたわぁ」 「ここなら、北甲国からそれほど離れていませんから鬼宿さんたちもすぐに追いつくことが出来ますね」 用意してくれた寝台に座ると張宿は眠そうに眼をこすった。 「疲れただろう、少し休むといい」 それほど遠くないとは言え砂漠を抜けて来たのだ疲れはたまっている。小さな体の張宿ならなおさらだろう。 井宿と軫宿は荷物の確認をしている。恐らくこれから不足分を買い出しに行くのだろう。 「かまへんかまへん。こいつらに任せといたらええて」 張宿の横ではすでに寝台で転がった翼宿。 「大丈夫なのだ。買い出しと言っても少しだから張宿は休むといいのだ」 温かい笑顔に頷き張宿は横になった。 「軫宿のほうはどうなのだ?」 「いや、薬草は北甲国で補充したから今すぐというものはない大丈夫だ」 そういい軫宿も大きな体を横にした。 「分かったのだ」 街に出た井宿は驚いた。一歩街から外に出れば砂漠だというのに街は井宿の想像以上に賑わっていた。 駆け回る子供たちに、威勢よく物を売る商人。 紅南でも見慣れた光景だ。 「それにしても…」 先ほど確認した荷物の中身。 「美朱が食べることを考えて食糧をそろえてはずなのだが…」 鬼宿柳宿美朱、三人もいないというのに食糧は空に近かった。 しかも砂漠という悪条件でそれほど食べれるとは思わないのだが。 北甲を出て何日たった? 一瞬そんな疑問が浮かんだが、考えすぎだと首を振った。 食糧街へ行くと、その光景は紅南とは少し違っていた。 砂漠の街だからか保存の効く食糧が多い。 どちらかというと食の細い井宿だが旅人の性か珍しく興味が出た。 問うと何をどう加工したのか、どうすれば腐りにくく携帯に向くようになるかなど商人は教えてくれた。 仲間が休む家に帰ると翼宿に「買いすぎちゃうか?」と言われ驚いた。 それは確かに地図に食糧にと旅に必要なものばかり。だが珍しさについ買ってしまったようだがその量の多さに井宿は首をかしげた。 幸いというか買いすぎたものは主に食糧で、美朱が追いつくと彼女の胃袋に収まるだろうか問題はないだろうが。 一晩どころか昼過ぎまでぐっすり眠った体は軽く、好奇心に任せて仲間たちは街へと出かけた。 残った井宿は昨日買い出しの時に見つけた小さな泉に行った。 「鬼宿たちの気が探れないのだ…」 仲間の気はいつでも見つけれるように気を張っていたというのに。 「やっぱりまだ疲れてるみたいなのだ」 旅慣れたとはいえ、砂漠は知識で知っているのみだ。 「後で軫宿に薬湯を作ってもらうのだ」 そう結論づけると、ぼんやりと静かな泉を眺め釣竿を取り出した。 どれくらい時間が経ったか、ここに来た目的を思い出したのは日が傾き始めたときだった。 「星宿様に連絡しなければいけないのだ!」 慌てて鏡を取り出し術を唱えて焦った。 通信が出来ない。 何故!? 焦る心を抑え、もう一度深呼吸して。 けれど何度やっても同じで…術が使えない。 「妨害されている!?」 試に美朱と鬼宿の気と近くにいる仲間たちの気を探る。なんとか翼宿たちの気は掴むことが出来たが鬼宿たちの気はつかめない。 いつから妨害されてる? 振り返るが心当たりすらない。 何者かの結界内に入ったとすればそこから抜け出すことが先決。 だがどこから?どうやって? 結界がどこにあるのかすら分からない。 「翼宿たちが心配なのだ」 駆け出した。けれどそれほど走らぬうちに足が止まった。 旅慣れた井宿は翼宿や鬼宿ほどではないが体力にはそこそこ自信がある。 けれど何日もろくな休息も取らず歩き通しだった時のように体がだるく足取りも重い。 「でも、翼宿たちならきっと大丈夫なのだ」 とりあえず仲間たちの様子を見て星宿様に報告しよう。矛盾した自分の行動に井宿は気づいていなかった。 「ククク…さすがに朱雀七星士とはいえ、砂漠を何日も歩き通し今なお炎天下の砂の上。堪えるでしょうね。それにしてもあの朱雀七星士にはどうやら耐性か何かあるのでしょうか?けれど」 体力を吸い取るこの炎天下ではそのうちこの幻影にはまるでしょう。 |
|
| HOME | 忍者ブログ [PR]
|